成長ホルモン治療の終わり

成長ホルモン治療は、どのように終了の時期を迎えるのでしょうか。ずばり、成長ホルモン治療は基本的には成人身長になるまで行います。

人間の体は「骨端線」が閉じてしまうと身長はそれ以上伸びなくなります。骨端線というのは、関節の近くにある軟骨のことです。

骨の端にあるこの軟骨に成長ホルモンなどが働きかけることで軟骨細胞が増殖し、やがて硬い骨に変わることで骨が長くなり、身長が伸びていきます。

ですから、骨が成熟して軟骨細胞の増殖が止まると、仕組み上もう身長は伸びません。骨が成熟する過程には一定のパターンがあり、それを標準化したのが骨年齢です。

一般的には、骨年齢が男子17歳、女子15歳になると骨端線が閉じるため、それ以上続けても効果はないと考え、治療は中止されます(もちろん例外はあります。)

ただし、実際には骨端線閉鎖を認めるより前に、身長の伸びが小さくなってきますので、それを見て治療を終了することが多いようです。

医療費助成(小児慢性特定疾患治療研究事業によるもの)についてもそうで、1年間に伸びた身長が3cm以下になるとそれをもって終了となります。

また、多くはありませんが、背が十分に伸びた場合にも治療は中止となります。成長ホルモン治療終了後は、もう小児科に通わなくてもよいのか疑問に思う人がいますが、基本的にはその通りです。

ただ医師によっては、あと数回は病院に来てくださいと患者さんにお願いするパターンが多いようです。

というのも、治療終了後に1カ月以上時間をおいて調べてみると、成長ホルモンの分泌量が成人生活に必要な量より不足していることが稀にあるからです。

これは特に治療のスタート時点で成長ホルモン分泌不全が特に重かったケースに見られることが多く、仮にそうなると成人診療科に移って引き続き対応しなければいけません。

ただし、成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療をしている小さなお子さんの中で、その後成長して成人になった人がその後も成長ホルモン分泌不全を引き起こす割合は全体のうち、僅か10%以下といわれています。

ほとんどは、成人になると治療の対象から外れます。

その場合でも、私は2~3年間は年に1回くらいの受診をお願いしていますc治療終了後にも少し身長が伸びますし、その後の身体的、検杢上の変化を確認したいと考えているからです。

背が伸びることのメリット

成長ホルモン治療を受けて、標準身長に近づくことは、社会的・精神的にどのようなプラス面があるのでしょうか。

実はこれについてはイギリスのNICE(英国目立E療技術評価機構)では、成長ホルモン治療をして身長を仲ばすことが、社会的にどの程度のメリットがあるかという分析を行っています

それによると、成人生活においてマイナス25SDを下回ると極端にQOL(生活の質)が低下し、成長ホルモン治療をして身長が伸びるとQOLが改善することがわかっています.

要は、標準身長に近づくことで、本人が心理的な健康を取り一戻し、社会的に健全に生きられるというメリットがあるということです。

これは特に身長が伸びない原因があり、それを成長ホルモンで補うことで伸びを実感してきたお子さんにとって非常に重要なことです

例えば、身長が低かったお子さんが、2学期が始まったとき、まわりの子どもたちから「大きくなったね」といわれるこそれがその子の励みとなってQOLの改善につながっていくわけです。

とはいえ、身長を伸ばすことだけが価値観のすべてになってはいけませんね。


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